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URBANEX LIVING SHIFT賃貸の可能性をひらく、新たな選択。|大阪ガス都市開発株式会社

URBANEX Idea Competition 2026 SPECIAL TALK SESSION

「ありふれた型」を超えて──URBANEXアイデアコンペティション2026の審査員が語る、共用部の可能性を広げるハードとソフト「ありふれた型」を超えて──URBANEXアイデアコンペティション2026の審査員が語る、共用部の可能性を広げるハードとソフト

大阪ガス都市開発が展開する「URBANEX(アーバネックス)」は、「都市の暮らしに、新たな選択を。」をタグラインとして掲げる賃貸マンションブランド。2026年に30周年を迎えるにあたり、「URBANEX LIVING SHIFT」プロジェクトを始動した。 その一環で行われるのが、「URBANEXアイデアコンペティション2026」だ。課題の舞台は、大阪・北浜に建つURBANEX北浜の1階共用ラウンジ。ここに新しい共用空間のアイデアを募る。

このコンペの特徴は二つ。一つは、実際に人が暮らす既存の建物を舞台に、グランプリ案は実装を予定していること。もう一つは、建築の専門家や学生に限らず、生活者にも広く門戸を開いていること。住まいは誰もが当事者であり、その実感こそが提案の出発点になりうるからだ。

審査を務めるのは、審査委員長の山口陽登氏(YAP. Inc CEO/建築家)、審査員の宮田サラ氏(まめくらし/nest取締役/高円寺アパートメント女将)、佐竹雄太氏(アラウンドアーキテクチャー代表/建築メディエイター)の三氏に、大阪ガス都市開発を加えた四者。それぞれ異なる専門性をもって集合住宅に関わってきた四者が、このコンペに期待することを語った座談会の内容をレポートする。

  • 山口 陽登
    審査委員長
    山口 陽登
    • YAP.Inc CEO
    • 建築家
    • 大阪公立大学 講師
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    1980年 大阪府に生まれる。2005年に大阪市立大学大学院を修了し、2013年まで日本設計に勤務。2013年にsiinari主宰、2019年の法人化に伴い、YAP.Inc CEO / Architectに就任する。建築家として活動しながら「シェアオフィス上町荘」と「鶴橋の立ち寄り場 ヨルン」の運営を行っている。これらの街に開かれたオープンスペースの実践を通して、建築家の役割を拡大する活動を続けている。主な受賞に、2014年SDレビュー2014鹿島賞。2020年グッドデザイン賞。2021年JIA関西建築家新人賞など。

  • 佐竹 雄太
    審査委員
    佐竹 雄太
    • 株式会社アラウンドアーキテクチャー 代表
    • 建築メディエイター
    • 東京理科大学 非常勤講師
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    1985年神奈川県生まれ 2008年東京理科大学理工学部建築学科卒業。2010年同大学院修了後、アトリエ設計事務所などを経て。2016年より創造系不動産入社。リーダー・マネージャーとして若手建築家を中心に協働プロジェクト多数。2020年には建築家設計の中古住宅の継承を目指した不動産サイト「建築家住宅手帖」を立ち上げ、編集長を務める。2021年に起業し、建築と不動産・ビジネスの専門性を掛け合わせ、日本全国で建築家とタッグを組んだ建築プロジェクトの不動産コンサルティングを担当しつつ、「建築のまわり」で広く活動し、「フードトアーキフェス2024」や、「建築家が事業を語る文法」、「建築家との家づくり勉強会」など数々のイベントも主催している。

  • 宮田 サラ
    審査委員
    宮田 サラ
    • 株式会社まめくらし
    • 株式会社nest 取締役
    • 高円寺アパートメント 女将
    OPENCLOSE

    1994年、岡山市生まれ。住宅や公共空間など暮らしの場の企画・運営を行う。2016年より、場づくりを学ぶ学校「大家の学校」を運営。2017年からジェイアール東日本都市開発の賃貸住宅「高円寺アパートメント」の女将として、住人同士や地域との関係性づくりに取り組む。「南池袋公園」や池袋東口グリーン大通りを舞台にした「IKEBUKURO LIVING LOOP」を2017年にはじめ、地元企業や地域住民と共創した社会実験やマーケットを企画運営し、官民連携事業を推進。2024年「グッドデザイン賞」 ベスト100・グッドフォーカス賞 [地域社会デザイン](日本商工会議所会頭賞)受賞。

  • 大阪ガス都市開発
    審査委員
    大阪ガス都市開発
    • URBANEX LIVING SHIFT プロジェクトチーム
    OPENCLOSE

    大阪ガス都市開発株式会社は、Daigasグループの都市開発事業を担う企業として、1989年の設立以降、賃貸・分譲マンションやオフィスビルの開発・管理運営事業を展開しています。【「ここがいい」を、つくる】というパーパスのもと、お客さま起点から生まれる"気づき"を活かし、新しい「ここがいい」を、つくり続けます。

section01

「共用部の見本」は、まだ誰も作っていない。

大阪ガス
都市開発
──大阪ガス都市開発から審査委員長の依頼を受けて、どのようなコンペにしていきたいと考えられましたか?
山口
YAPのミッションの一つとして、「見たことのない見本を作る」という言葉を掲げています。住むという根源的な機能に対して、これまでたくさんの建築的な新しい見本が発明されてきました。ただ今回、共用部にフォーカスを当てると聞き、誰もが日々通過している場所であるにもかかわらず、その見本を作ることが十分になされていないことに気がつきました。今回私たちが審査に関わることで、新しい共用部の在り方、それに伴う新しい住まいの在り方、そして街との関わり方の新たな可能性を社会に発信できたら、それは素晴らしい提案の場所になるだろうと思っています。
大阪ガス
都市開発
コンペの趣旨文では、賃貸マンションの共用部が「ありふれた型」に収まりつつあるのではと問いかけています。「ありふれた型」とはどのようなものと考えていらっしゃいますか?
山口
賃貸マンションの共用部は多くの可能性を秘めながらも、ほとんど真っ白な空間として作られてきました。一方で、使い方を限定する、一色で塗りつぶしてしまうような空間だと、共用部がもつ本来の可能性が失われてしまう。ですから白という特性を残しながら、それでいて魅力的な色が加わる、そういった提案を期待しています。そのような特性をもった空間として、イタリアのシエナという街にあるカンポ広場が想起されます。普段は人々がのんびり過ごす場所として、またある時はコンサート会場として使われている広場で、年に1回だけ「パリオ祭り」というお祭りで、街の人たちが馬を出し合って競馬が行われる。そのとき、熱狂の渦に包まれて、日常との振れ幅がすごいんです。すり鉢状をした広場の魅力的な形状があの熱狂を生み出していることを、実際に訪れて感じました。
山口
私がリノベーションし運営もしている「上町荘」というシェアオフィスには中二階があり、下から見上げ、上から見下ろすことのできる空間で、演奏をしたり映画を投影したりといった活動が行われる場所になっています。そしてそれを、路地に面したガラス越しに街の人たちが見ている、さらにその人たちを見る人がいる──というように、人と人の関係を編み直す場所を、形が生み出している。この吹き抜け空間を、ホールと名付けています。機能を限定しない名付けをすることで、シエナの広場のように、その時々で使い方を変えていける余白を大事にしています。
「上町荘」、吹き抜けのホール。中二階からの見下ろし
「上町荘」、吹き抜けのホール。中二階からの見下ろし(画像提供:YAP. Inc)
宮田
いまの賃貸マンションの共用部には、どんな人がどういう振る舞いをするのかというイメージのバリエーションが少ないなと、強く感じます。手を加えていける余白や、それが許される状況があると、すごくいいんだろうなと。
宮田
私が運営している「高円寺アパートメント」にある芝生の広場やシェアラウンジでは、ベンチや本棚といった機能を最初から用意するのではなく、欲しいという人がいたら、その人と一緒に作る取り組みを行っています。芝生も気がついたら勝手にベンチが増えていて、自分たちで考えてその場所を育てていくことによって、家の中だけではなく共用部も含めて「自分の家」だと捉えられるような愛着につながっているのだと感じます。他にも池袋にある「ニシイケバレイ」という複合エリアにある賃貸住宅では、玄関前にちょっとした空間があり、実の生る植物が植えてあることで、家具を外にも置いてみたり、皆でなにか作ってみようという動きが生まれています。そうしたはみ出しやすい空間づくりが住人の関係性づくりには重要です。共用部も「ここは共用部です」という境界線を引くものというよりは、少しはみ出していくための補助線として機能すると、すごくいいなと思います。
「高円寺アパートメント」の芝生の広場で行われるマルシェの様子
「高円寺アパートメント」の芝生の広場で行われるマルシェの様子(画像提供:まめくらし)
佐竹
不動産の視点で言うと、建設費や土地価格が高騰するなか、賃貸マンションづくりは効率化に向かい、共用部を充実させる余裕は失われてきています。共用部を設けているマンションも、多くは最低限のソファが置かれた応接的な空間で、関わりしろがなく、入居者の付加価値につながっていない。それが「ありふれた型」だと思います。誰もが自由に使える汎用性、個別の需要に応える特殊性、どちらに振り切るのでもなく、その間でいいバランスを見つけることが大切です。
最近企画に関わった築45年・全12戸の軽量鉄骨造アパートを再生した「ナラティブアパート」という事例では、古さを逆手に取り付加価値にするために床も壁も取り払えるほどDIYを許容する計画としました。またその一室を「DIYセンター」と名付けた共用空間とし、建築家が月1回訪れて相談に乗る「建築家付きDIY可能賃貸」とすることで、実際にDIYが行われていく運営を試みています。空間というハードと、それが使われる仕組みというソフト。両方が噛み合わなければ、実際の場は機能しません。
「ナラティブアパート」の共用部、「DIYセンター」
「ナラティブアパート」の共用部、「DIYセンター」(画像提供:アラウンドアーキテクチャー)
大阪ガス
都市開発
URBANEX北浜の共用部を実際にご覧になった印象をお聞かせください。
山口
北浜は外から見るとビジネスの街ですが、ひとたび暮らすと暮らしの息づかいが見えてくる。あの場所でしかできない暮らし方があるのだろうと思わせてくれる街です。共用部は本当に住む人だけのものなのか。通過する人、働く人など、いろいろな人が関わる場所へ視点を移してみるのも一つです。
宮田
URBANEX北浜にはすでに住んでいる方々がいて、実際にここで実現もするので、その前提を意識しすぎるとアイデアが収束してしまうようにも思います。これから住む人のことも含めて、どんな人たちにどんな過ごし方や使い方をしてほしいか、イメージを巡らせていただけるとよいのかなと思います。
佐竹
一番印象に残ったのは、階段で降りるあの空間です。共用部は誰かが使うと他の人が使えない、一人・一組のためのスペースになりがちですが、高さの違いがあることで、ここは何人かが同時に居られる広がりがある。コミュニティを前提にせずとも、複数人が居やすい状態をどうつくるかが一つポイントになりそうです。加えて道路側が大きなガラスになっていて中の活動が外から見える。そのまちへの見え方も面白く捉えられると、いい提案になると思います。
URBANEX北浜 共用空間
URBANEX北浜 共用空間
URBANEX北浜 共用空間
URBANEX北浜 共用空間

section02

完成度では測らない──何を評価し、どんな提案に出会いたいか

大阪ガス
都市開発
今回のコンペは建築の専門家や学生に限らず、広く門戸を開いたもので、審査において必ずしも案の完成度が求められるわけではありません。審査ではどんな点を評価し、どんな提案に出会いたいですか?
山口
完成度とは、破綻していないこと。実務では重要ですが、今回大切なのは、いろいろな可能性を感じられるかどうかです。その提案がどんな気づきから始まっているかを見たい。もう一つは、その共用空間がどれだけ多くの人にいい影響を与えられるか。少ない人に向けたものであれば、今の共用空間がすでに成し遂げています。それを超えて、多少粗削りでも、共用空間がどれだけ多くの人にタッチできているかを見たいと思います。
佐竹
住まいは誰もが共感でき、誰もが生活者ですから、自分の生活を発想のきっかけにしてもらうことで説得力のある提案になります。「もう少しこうだったらいいな」という切実な想いが乗っているか。誰か一人の要求やモチベーションが他の人へ広がっていく可能性は、自分の生活を起点にすると出てくる気がします。
宮田
私はいわゆる「コミュニティ」の取り組みをしているので、開けば開くほどいいと思われがちなのですが、そうではありません。その場所やそこに住む方、周りの状況によって、開き方や閉じ方の良い塩梅は変わるものです。閉じ方も、完全に閉め切るのではなく、時間軸やスペースの使い分けで開閉を調整することが大切だと思っています。その塩梅を応募者の皆さんがどう考えるのか、楽しみにしています。
山口
宮田さんのお話、よくわかります。住み開きの取り組みは素晴らしい一方、住まいという生命線が脅かされることに、建築家は自覚的でなければなりません。しかも今回、すでに人が住む場所に後から提案がインストールされることも、開き方を考えるうえでは重要なポイントです。
佐竹
今の入居者に縛られすぎると案が小さくなる。これを求める人がいるだろう、という想像力をもって提案することも必要です。
宮田
せっかくなら、この機会が「賃貸住宅にもこういう可能性がある」と示せる場になるといいですね。どこでもいいではなく「ここだから住みたい」と思ってもらえるものになったら、うれしいです。

section03

当事者意識を持って、楽しむコンペに

大阪ガス
都市開発
皆さんのお話には、私たちが今まで取り組んできたことや課題意識が言語化されていました。ここに住む人はどんな生活をしているのだろうと、当事者意識を持つことで、URBANEX北浜に合う共用部の姿が見えてくると思います。応募者の皆さんには、この機会を存分に楽しんで考えてほしい。自分が考えた案が実装されるかもしれない、という面白さを、学生の方々には特に感じてほしいなと思います。できたときの感動が、この業界の一番楽しいところですから。

/ オンラインにて実施

文=ロンロ・ボナペティ