多彩な表情を宿し、
街に潤いをもたらす、
シンボリックレジデンス。
配置計画により、地域に開かれたランドスケープを実現しているのが素晴らしい。とくに3種類の庭は、それぞれ楽しみ方も異なりそうで、実際の使われ方への興味が湧く。一方で、実際の細やかな設計が生み出す具体的なつながりについては、今後の実際の供用が進んだ時点での経過に関心が持てそうだ。
周辺の中でもひと際高層の建物となるため、
街のランドマークとして
この土地の価値向上に寄与するよう、
360度全方位が「顔」となるデザインを目指した。
最上層に設けたシャープな庇を共通コンセプトとし、
シンプルなデザインの中に白色系タイルを基調とした
テクスチャーの異なる素材で奥行き感を演出。
ボリュームのある南棟は段階的にセットバックさせ、
後退部分のデザインを統一。
建物にリズムを与えた。
妻面の伸びやかなコーナー庇とコーナーサッシで、
縦方向に昇華する都会的なデザインを強調。
バルコニー面には繊細な美しさを兼ね備えた
ガラス手摺を採用し、
南側の公園の眺望を最大限享受できるよう配慮している。
緑道から、タイル壁、水盤へと景色を変えながら、
風除室に引き込むアプローチ空間。
エントランス棟にのびやかなガラスファサードを採用し、
ホール内の明かりとの一体感を創出。
大きく張り出した庇の水平ラインをより際立たせるよう、
斜めのスロープラインを手すり壁で隠すなど、
細かな部分にも配慮した。
使用材料数と彩度のコントロールで、
シンプルで落ち着きのある美術館のような空間に
仕上げたエントランスホール。
時間帯により表情を変えるようライティングもデザイン。
ガラス越しに広がる水盤には、
縁のないインフィニティエッジを採用。
途切れなく流れる水が、
穏やかな時の移ろいを演出している。
風除室を抜けると「陶額堂」が手掛けた
“水の煌めき”を表現したガラスオブジェが出迎える。
天井高4mのエントランスホールには、
水盤と調和する“静かな水の流れ”をテーマとした
造形作家の吉津信一氏の作品を配置。
サブエントランスにも同様に、
川の流れを表現した石庭と
瑞々しいガラスオブジェを配している。
六甲山に自生する樹種等、
地域に寄り添った樹種を中心に植栽。
また、「地域性種苗」を一部導入し、
地域の植物の遺伝子の保全に貢献。
シンボルツリーのクスノキ等の高中木は
九州の産地にて選定。
いずれも見せるためだけではなく、
ヒューマンスケールで、暮らす程に愛着のわく
樹種を選定した。
北庭の「アクアガーデン」は、
端正なエントランスに呼応する直線的なレイアウトに。
中庭の「シーズンズコート」は季節ごとの緑が息づく、
起伏のある有機的なランドスケープに。
南庭の「パークサイドコリドー」は、
近接する上坂部西公園との連続性を意識した
開放的な空間とした。
共用部にキッチンやブックライブラリーを設え
たコミュニティラウンジを設置。
入居後1年間は居住者の交流を促す
コミュニティイベントも実施予定。
住まわれる方々の憩いの空間として活用されるよう、
ソフト面でもサポートを行う。
本マンションは、大阪ガスの社宅跡地開発であり、Daigasグループの一員として、人々の暮らしと社会に貢献するプロジェクトにしたいと考えていました。工業都市から環境モデル都市へと変貌を遂げる尼崎市の中で、低炭素建築物認定の取得など、暮らす事そのものでの環境貢献など、先進的な取組みを様々実施しました。時代に先駆けたシェアリングエコノミーの形成など、建物だけをデザインするのではなく、生活のデザインにまで思いを馳せた、この地を昇華し、次代に誇れる街のランドマークレジデンスです。
分譲事業部 事業企画部 事業企画グループ尾崎 景亮