芦屋月若の地に馴染み、月日の移ろいとともに変化し
味わい深くなっていく私邸。
邸宅の建ち並ぶ芦屋の地にふさわしい洗練されたフォルムを追求。
表情の異なる面の重なりで構成し、モダンで奥行のあるデザインを構築した。
建物外壁には、時が経つほどに風合いが深まるせっ器質のボーダータイルを採用。
道路際には御影石貼りのゲートを設け、邸宅としての風格を演出した。
マンションの顔となる大きな外壁面は、素材感は統一しながら、厚みの違うタイルのランダム貼りや、壁厚のさりげない凹凸で陰影をつくることで、品があり味わいの深い表情を作り出す。
足元の植栽は、景観をつくるとともに、内部と外部の視線を緩やかにつなぐ役割を果たす。ゲートの壁を背景に連続して植栽し、夜は影が壁に落ちるようにライトアップ。入居者は、時間帯、季節の移ろい、植栽の成長とともに表情を変える草花に迎えられる。
エントランスホールはサッシの無い大きなガラスの2面開口で、柔らかな光と緑に囲まれる。木調のパネルやルーバー、柔らかなファブリックのインテリアや間接照明で、温もりを感じられるシックな空間に。また、壁面に石のニッチカウンターを設け、アートのある風景が日常となる贅沢感のある設えとした。
ホールと通路を緩やかに仕切る木調ルーバーは角度に工夫を凝らし、歩くほどに見える景色が柔らかく移ろう。廊下の手すりにはライン状の間接照明を設け、単調になりがちな廊下空間に洗練感を醸し出しながら住戸へと誘う。
共用廊下部分には吹き抜けを設け、光と風を感じられる中庭(ライトコート)を2カ所配置。玄関先で毎日自然に触れ、日々の暮らしに潤いを感じてもらえるよう、六甲山系をイメージした樹木や、地被植物などを取り入れた。
本マンションのコンセプトは、「四季や時々刻々の微細な変化を感じながら暮らすことのできる住宅」です。六甲山や芦屋川などの自然が身近に感じられる、上品で落ち着いた芦屋の街に相応しい建物となるよう、小規模な物件ながらも、一つ一つのシーンに思いを馳せ、素材の選定やディテールについてもこだわりデザインを検討しました。中庭やエントランスアプローチ部分の中高木は、実際に植栽畑まで足を運び選定したものであり、思い入れも強いです。本マンションは、時を重ねるごとにより味わいの深い景観を形成していってくれることでしょう。
技術本部 第2技術部 分譲建設グループ梶木 仁美