PROJECT

提案型事業

共創HUB京都(仮称)

交流共創のハブとして機能する
新たな複合施設を
かたちにする。

MEMBER

Mariko Tsuda

Norika Kurioka

PHASE1

提案型事業。行政などの所有地に対し、民間事業者などが自由な発想で事業を企画し提案する方式で、官民協働による効果的な課題解決や新たな価値創造の実現が期待されている。提案型事業は事業内容が重視されることから、エネルギー施策や防災といったDaigasグループの強みが発揮できるとあって、かねてより大阪ガス都市開発では、ビジネス領域の拡大を模索するなかで提案型事業に取り組んできた。その第一号案件となったのが、「共創HUB京都」だ。

  • ※共創HUB京都 外観完成予想図

京都市は2023年に「京都市立芸術大学新キャンパス隣接地(将来活用地)の活用に係る公募」を実施。活用計画ビジョンとして「SDGsの実現と文化芸術都市・京都の未来を共に創造・発信する交流共創拠点」が提示された。これに応募すべく、大阪ガス都市開発と京都信用金庫、学校法人龍谷大学の3者は「共創HUB京都コンソーシアム」を組成。まったく異なる事業を展開する3者が協業して「学ぶ×挑戦する×住む」を備えたイノベーション拠点「共創HUB京都」を創出するというプランを提案し、契約候補事業者に選定された。

京都市との連携やコンソーシアム各者が有するリソースを駆使することにより、社会課題解決につながる人材育成や産業創出、コミュニティ形成の推進を実現する。この壮大な計画を実現すべく、2028年の開業に向けて開発推進プロジェクトが始動した。

PHASE2

大阪ガス都市開発で本プロジェクトの開発推進の主担当を任されたのが、津田だった。これまで分譲マンションの開発推進に携わってきた津田にとっては、本プロジェクトは未知の世界といえるような分野だ。もちろん不安はあったものの、同時に会社にとって初チャレンジとなる案件に携われるやりがいも感じていた。
「共創HUB京都は、起業家マインドを持つ人をターゲットとして、学ぶ・挑戦する・住むが一体となった、新たな価値を共創する施設です。このコンセプトは、京都市の持つ、文化と経済の循環、若者の流出、産業の創出といった課題に対し、コンソーシアムのメンバーの強みを掛け合わせ、さまざまな人が集い、交流し、課題の解決に取り組むコミュニティ拠点を提案したものです。

そしてこのコンセプトを実現するために、京都信用金庫さんからは、起業家の挑戦を後押しする金融的支援、龍谷大学さんからは、アントレプレナーシップ(起業家精神)教育による次世代を担う人材育成を提供いただきます。そして当社は、これまで取り組んできたマンション事業の知見を活かして快適な居住空間を整えるとともに、多彩な共用空間とイベントにより入居者同士の交流を促すことで、それらを下支えすることを目指しています。
さらに施設の価値をより高める為に、料理学校やアートスペースの誘致も行いました。誘致にあたっては、『京都』でアート・文化を広げ、共創を含めた新たな活動をしたいという想いを持ち、コンソーシアムの目指す施設の在り方に賛同していただける事業者にお願いしました」(津田)

開発推進にあたって、津田がまず着手したのが建物の設計だ。基本プランは提案時にかたち作られているものの、将来を見据えて「どのような建物にするか」の検討をより具体的に進めていくなかで、コンソーシアムの3者それぞれからの要望をあらためて吸い上げるところからのスタートとなった。
「建物の構成としては、1・2階の西側には京都信用金庫さんの支店とコワーキングスペース、東側には料理学校とアートスペースが設けられています。続く3・4階には龍谷大学さんのサテライトキャンパスが入り、さらに上階の5・6階は交流型の学生寮、7・8階は交流型の賃貸マンションといった住居フロアとなる計画です。
これらの価値を最大化するため、動線を工夫することでフロアを超えたコミュニケーションを促進しています。特に1・2階の京都信用金庫さんと3・4階の龍谷大学さんの間には、ガラス張りの階段とエレベーターを設置することによって、動線的にも視覚的にもシームレスにつながり、一体的な利用ができるようにしました。
プロジェクトは3者の合意のもとで進められますが、建物を建てるという分野においては当社がプロなので、設計会社に協力してもらいながら当社主導で、各者の要望を設計に落とし込んでいきました」(津田)
マンションとはまったく異なる構成の建物で、かつ関係者も多く、調整が複雑であったが、津田は周囲にアドバイスを求め、試行錯誤しながら一歩ずつ前へと進んでいった。

PHASE3

建物という「ハード」の設計を進める一方で、その建物を使って何をするかという「ソフト」コンテンツの開発も進めていく必要があった。これには、プロジェクトに新たに加わった栗岡がメインで取り組むこととなった。
「素敵な建物を建てることはもちろん重要なのですが、それだけでは人は集まってくれないので、志を同じくする仲間が集い、活動を行うイキイキとした場所にするためには、果たして何をすればいいのか? それをコンソーシアムのメンバーと一緒に検討しています。
京都信用金庫さんは、共創施設として先行して取り組まれている『QUESTION』などの知見も盛り込みながら、スタートアップ支援に特化した施設を運営予定です。龍谷大学さんは既存の3キャンパスの中間拠点として、アントレプレナーシップ教育をはじめ、多様な学問領域の交流をこの拠点で取り組みます。そこに併設される住宅には、入居者同士の自然な交流を生み出す仕掛けをしていきたいと考えています。正解がないと言われる現代社会、所属するコミュニティに閉じこもったままで解決できることは限られていると思います。学生、社会人、起業家、支援機関、多種多様な属性の方々の接点を設け、この施設ならではの熱のあるコミュニティを生み出せるような、そんな取組をコンソーシアムメンバーと検討しているところです」(栗岡)

住宅機能のある共創施設というのは全国的にも例が少なく、手探りでのプロジェクトとなる。
「未経験のプロジェクトに取り組むなかで、テーマとなるアントレプレナーシップやスタートアップといった分野の知見については、京都信用金庫さんや龍谷大学さんのこれまでの取り組み、グループ会社である京都リサーチパークのスタートアップ支援の実績からも学びながら、この座組だからこそできる共創施設のあり方を模索し、一つひとつ手探りで目指すべき方向性や枠組みを探っています」(栗岡)
金融機関に教育機関、デベロッパーと業界が異なるため、お互いに普段用いている専門用語を使えず、協議の場ではあらゆる事項についてよくよく確認をしながら進めていく必要があったが、栗岡にとってはそれがかえって新鮮だった。これまで仕事で関わりを持たなかった業界の方々と意見交換するなかで、大いに「気づき」を得て、また知見も借りながら、コンソーシアム全体で一つの目標に向かって進んでいけるよう、心を砕いている。

PHASE4

建物の設計が大枠から詳細へと進むなか、津田は工事費の調整に頭を悩ませていた。建設業界のコストは、右肩上がりで上昇を続けている。津田は設計が進むに従い、3度にわたって工事費の見積をとったが、その度に費用は上がっていった。
「費用が上がる理由をコンソーシアムのメンバーの皆さんに説明して納得してもらうよう努める一方で、仕様についても検討を進めました。当社の技術部門や設計会社、施工会社と一緒に知恵を出し合いながら、仕上がりへの影響が最小限になるよう費用低減する方法がないかを一つひとつ洗い出していきました」(津田)

一方の栗岡は、共創HUB京都をどうPRしていくかといったコミュニケーション戦略の立案に取り組み始めた。
「『学ぶ×挑戦する×住む』の機能が一つの建物に集約された場所で、新しいものを生み出すために日々活動できる。その価値を、何とかうまく伝えられないかと知恵を絞っています」(栗岡)
コンソーシアム内でもこのタイミングにおいてどのような訴求をしていくのか、さまざまな意見がでるなかで、関係者の意向を整理しながら落としどころを探っていった。

PHASE5

そして2025年11月、プロジェクトは建設工事の着工という大きな節目を迎えた。合わせて、プレスリリースの発信と、ホームページの公開も行われ、プロジェクト全体が次のフェーズに移行した。
「やるべきことを一つずつ着実に積み重ねていくことが大事だと思っています。最初に京都市に提案したときの『理想』を実現するために今、コンソーシアムのメンバーを中心にさまざまな関係者の皆さんで動いている。もちろん、まだまだ壁はあると思いますが、乗り越えた先に、理想を現実にする日が訪れると信じて取り組んでいます」(津田)
「私も想いは同じで、なかなか他に事例がなく、完成形が想像できない事業だからこそ、関係者と知恵を出し合いながら、一つひとつ積み木を積み上げるように新しいものを作り上げていくことに、やりがいを感じています。コンソーシアムのメンバーも、それぞれの立場はありながら、社会をより良いものにしようという強い想いを持って取り組んでいるので、そういう方たちと一緒に仕事ができることもうれしい限りです」(栗岡)
開業予定は2028年度。建物が竣工し、実際に利用者の方々が集い、そこで行われる学びのプログラムやさまざまなイベントに参加し、思い描いた交流の場として「共創HUB京都」が活発に機能していることを目指して、津田と栗岡は本プロジェクトに取り組み続けている。

共創HUB京都(仮称)ホームページ:共創HUB京都(仮称)

NEXT
VISION

Mariko Tsuda

本プロジェクトを通してなかなか普通ではできない経験ができているので、それを次の仕事でも活かしたいと思っています。「共創HUB京都」に携わったことで、未知の領域を開拓していくマインドが自分のなかに醸成されたように感じています。新規事業にしろ、既存事業にしろ、新しいことに自ら踏み出していく姿勢を大切にして取り組んでいきたいです。

Norika Kurioka

「共創HUB京都」は、この条件だからこのかたちになったと思っています。どのプロジェクトでも、その土地、そのまち、その課題に合致したものを生み出すことによって、社会のニーズに応えていくべきであり、それがデベロッパーの使命だと考えています。だからまた同じようなものを手がけたいという気持ちはなく、行政などその土地の所有者やステークホルダーの皆さまの想いにしっかり耳を傾けて、それに応えられるものを都度、かたちにしていきたいです。